皆さんは、「問題精講シリーズ」と言われてパッと思い浮かぶものは何かあるでしょうか。「基礎問題精講」が人気で代表的なので、これをイメージされた方が多いでしょうか。
実は、問題精講シリーズには、レベル別に分かれたものと分野別のものが存在します。 ここでは、問題精講シリーズの各種類について、比較していきます。参考書選びの際に参考にしてください。
問題精講シリーズの種類
問題精講シリーズのメインになるのが、レベル別のタイプです。皆さんがイメージしやすいのもこれではないでしょうか。レベルは4段階で、易しいほうから順に『入門問題精講』『基礎問題精講』『標準問題精講』『上級問題精講』となります。
分野別は、『整数』『場合の数・確率』『軌跡・領域』『二次曲線・複素数平面』『ベクトル』『微分方程式・複素整数』の6分野が存在します。レベルとしてはすべて標準です。「基礎的な問題は解けるけど入試レベルになるとうまくいかない」という人が、自分の志望校の頻出分野を鍛えるのに向いています。
問題精講シリーズに共通することとして、レベルや分野によって、著者が異るという事があげられます。この点は使用感に影響するので注意が必要です。使用を検討する場合には、実際に手に取って自分に合うか吟味するようにしてください。
問題精講シリーズ レベル別4種の紹介
メインであるレベル別の4種類についてもう少し詳しく紹介していきます。おすすめ度も載せているので良ければ参考にしてください。
問題数とレベルの比較

レベル別4種のレベルは上の図のようになっています。問題精講シリーズをやり切れば東大合格も十分可能です。ただし、問題精講シリーズを活用して受験勉強を進める場合には、基礎と標準、標準と上級の間のレベルギャップに注意が必要です。特に、標準から上級は直接進むのはほぼ不可能なレベル差があると考えておきましょう。
問題数については次の表のようになっています。理系で上級問題精講まですべて取り組んだとすると、2,639問です。効率的に学習ができるように厳選された問題のみですが、相応の時間がかかることは覚悟しておく必要があります。
なお、学習の開始レベルは『入門問題精講』がオススメです。基本的に、選ぶべき参考書のレベルは、現在の学習状況と志望校により一人一人異なります。ですが、ほとんどの高校生は「基礎が固まっていない」状態にあります。これでは、より高度な内容を進めていくことはできません。難関大志望者であっても「本当に基礎にぬけがないか」「基礎の本質的な理解ができているか」を意識しましょう。
入門問題精講
〈おすすめ度:★★★★★〉
入門という名前から、誤解をしている人もいるかもしれませんが、決して簡単なだけの参考書ではありません。
丁寧な解説、充実したコラムそして厳選された問題により、初学者でも十分に独学可能になっています。くわえて、「最難関大学入試でも通用するような本質的な理解」につながる、本当の意味での基礎を学習できます。
初学者から最難関志望者まで幅広くお勧めできる入門レベルの参考書です。
入門問題精講について、より詳しい情報を確認したい人はこちらの記事も確認してみてください。
基礎問題精講
〈おすすめ度:★★★☆☆〉
入試の基礎レベルをカバーしています。基礎=簡単ではないことを認識させられます。
が、解説はそこまで丁寧とは言えず、解答方法に応用性が低いものが一部存在するといった点には注意が必要です。チャート式やNEW ACTIONシリーズといったいわゆる”網羅系参考書”を進めるには時間が足りないという人が、短期間で入試の基礎を掴みたい場合にお勧めです。
基礎問題精講について、より詳しい情報を確認したい人はこちらの記事も確認してみてください。
標準問題精講
〈おすすめ度:★★★★☆〉
入試の標準レベルをカバーしていますが、ⅠA、ⅡB+ベクトル、ⅢCで筆者、難易度が異なるので注意が必要です。数ⅠAは基礎問題精講からも比較的スムーズに接続できますが、ⅡB+ベクトル、ⅢCについては基礎問題精講とのレベルにはやや開きがあります。完成させれば難関大学でも対応できる実力が身につくのですが、基礎問題精講の次の参考書にできるかは、人によります。解説は非常に丁寧なので、問題のレベルに対応さえできれば、使い勝手は基礎問題精講よりも上です。
標準問題精講について、より詳しい情報を確認したい人はこちらの記事も確認してみてください。
上級問題精講
〈おすすめ度:★★★☆☆〉
厳選された良問ばかりですが、シンプルに難しいです。
東京大学、京都大学、東京科学大学、一橋大学といった、最難関大学志望者の中でも「数学で高得点を取りたい」という人向きといえます。このレベルの参考書としてはかなり丁寧な解説なのがうれしいポイントです。なお、改定前と比べ、やや取り組みやすい難易度になりました。ただ、それでも使うべき人はかなり限られます。(東大、京大の過去問が多いので、この2大学志望の人が使用する場合は注意してください。)
※ 東京大学 理科Ⅲ類や京都大学 医学部医学科 志望の人は、このレベルでもサクサク対応できる状態にしておきましょう。
上級問題精講について、より詳しい情報を確認したい人はこちらの記事も確認してみてください。
結局、問題精講シリーズってどうなの?
シリーズ全体としてみたとき、完成度の高い素晴らしいシリーズです。多くの人にとって、取り組んで損をすることがないシリーズといえます。
中でも、入門問題精講は非常におすすめで、個人的には全受験生に一度は目を通しておいてほしいと思っています。
そのほかのレベルや分野別も素晴らしい参考書ではありますが、入門と比べると使うべき人がやや限られるという点から、個人的なおすすめ度はやや下がってしまいます。
入門問題精講で「数学の土台を固める」ことができたら、時間がとれるなら網羅系へ、短期間で仕上げる必要があるなら『基礎問題精講』や『大学への数学 プレ1対1対応の演習』へといったように、状況に応じて自分に合った参考書を選ぶようにしてください。
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