皆さんは、数研出版の『チャート式』をご存じですか?非常に歴史のあるシリーズなので、網羅系といわれる参考書の代表として、知っている人が多いかもしれません。そんなチャート式シリーズの一つに、『白チャート(正式名称:チャート式 基礎と演習)』が存在します。チャート式としての知名度は青チャートや黄チャートと比べるとまだまだ低いのが現状といえますが、チャートシリーズの中で最も丁寧な導入と見やすいレイアウトになっているのが、この『白チャート』です。いわゆる網羅性(カバーしている解法パターン)は大学受験という面では十分とは言えませんが、日東駒専・産近甲龍といったレベルの大学や共通テスト6割程度が目標という場合には十分といえます。教科書内容の確認から最低限の入試対策までカバーできる1冊です。
この記事では、そんな『白チャート』がどのような参考書なのかについて見ていきます。
より自分に合った参考書を選ぶことができるように、そして、手にした参考書を完成させることができるように、参考にしてみてください。
また、チャート式のシリーズ全般について紹介した記事や、他のオススメ参考書について紹介している記事も投稿しています。まだ見ていないという人はぜひそちらも参考にしてみてください。
数学を学習するうえで必要な意識
皆さんは、「数学はセンスだ」と思っていませんか?確かに、最難関大学の入試問題の中には「解答方針が立てられるかどうかが勝負」という問題も存在します。ですが、多くの入試数学の問題は「典型的な解法や考え方が理解できているかを確認する」問題です。そして、そういった入試数学を攻略するうえで必要となるのは、才能や膨大な知識量ではありません。「なぜそうなるのか?」と考えようとする好奇心と、焦らず目の前の壁(難しい問題)に挑み続ける継続力なのです。
大事なことは、「問題文に書かれた条件や意味を理解し、どのようにアプローチすれば良いかを考える」ことです。言い換えると、問題をいくつかのプロセスに分け、段階的に考えて、正解に自分の力で一歩ずつ近づいていくということになります。
重要なのは、教科書レベルの内容を確実に習得することです。基礎を確実に固めることの大切さをしっかりと理解し、いきなり難しすぎる参考書に手を出してしまうことがないように気を付けるようにしてくださいね。
チャート式 基礎と演習(白チャート)の概要
チャート式 シリーズ(網羅系4種)のうち、最も基礎的な内容をがっちりと鍛えることができる(白チャート<黄チャート<青チャート<赤チャート の順で右に行くほどレベルが高くなります)のが『白チャート』です。
特に重要な例題には解説動画もついており、チャートシリーズの中で最も見やすいレイアウトになっているため独学でも進めやすくなっています。また、詳しい導入に加え、コラムも非常に充実しており、教科書内容を入試につながるように深いレベルで理解することができるようになっているのもおすすめポイントです。
このことから、『白チャート』は大学受験で数学を使うが教科書内容にも不安があるという人や、先取り学習を進めようとしている中高生に強くおすすめできる「効果的に基礎固めに取り組める」シリーズです。 なお、同レベルの参考書としては、『入門問題精講』や『初めから始める数学』といった入門用参考書があげられがちです。確かに導入レベルとしては間違っていませんが、最終到達レベルを考えると『基礎問題精講』や『元気が出る数学』『大学への数学 プレ1対1対応の演習』といった参考書と同レベルになっています。その分問題数も多いということなので、気を付けてください。白チャートは、決して『簡単なだけの参考書』ではないのです。
出版社とおすすめ度

〈おすすめ度:★★★★☆〉
出版社:数研出版
著 者:チャート研究所
サイズ:A5判
白チャートの種類
チャート式には、店頭販売しているものと学校専売品が存在しています。
店頭販売品は別冊解答が本体に挟み込む形になっているのに対して、専売品は完全分冊タイプであるという点が違いといえます。また、学校専売品の方が定価はやや安く設定されています。
現行課程版での販売状況と定価は下表です。
種類 | 学校販売 (単位:円 / 税込み) | 店頭販売 (単位:円 / 税込み) |
---|---|---|
数学Ⅰ | 販売ナシ | 1,592 |
数学A | 販売ナシ | 1,287 |
数学Ⅰ+A | 1,881 | 1,991 |
数学Ⅱ | 1,4585 | 1,595 |
数学B | 販売ナシ | 販売ナシ |
数学Ⅱ+B | 1,991 | 2,101 |
数学Ⅱ+B+C(ベクトル) | 2,211 | 販売ナシ |
数学C | 1,210 | 1,320 |
数学Ⅲ | 1,430 | 1,540 |
数学Ⅲ+C | 販売ナシ | 販売ナシ |
数学Ⅲ+C(複素数平面、式と曲線) | 1,892 | 販売ナシ |
白チャートの構成
店頭販売品、学校専売品とも基本構成は変わりませんので、以下でまとめて紹介していきます。
本体構成
章トビラ
目的に応じた例題選択のヒントや、全体像の把握に役立つ、例題の一覧が記載。
Let’s Start
各節ごとに、定理や公式などの基本事項を整理し解説。ほかのチャートシリーズに比べ、解説が丁寧なのがありがたいところです。必要に応じて、既習範囲の復習ができる「Play Back」が設けられているので、独学でも理解を深めやすい構成になっています。
例題ページ
本書のメインになるページです。選び抜かれた良問で、教科書内容を効果的に習得していくことができます。
コラム
「CHART NAVI」「STEP forward」「STEP into」「STEP UP」など、多様な形式で理解を進めるのに必要な内容をカバー。より深く数学を理解するだけでなく、入試準備として必要な内容についても説明されています。
EXERCISES
原則各節末に配置されている類題です。教科書内容の確実な理解を図るものから入試準備レベルの問題で構成されています。例題で学んだ知識がきちんと定着しているかをしっかり確認できる問題剪定です。
実践編
共通テストに近い形式の問題を通して、入試問題に取り組むための準備を進めることができます。
例題ページの構成

- CHART & GUIDE
問題を解くうえで必要となるポイントや考え方が示されています。特に重要なポイントは赤字にするなど学習者がポイントを把握しやすいように工夫がされています。 - 解答
答案として再現すべき模範解答です。 - 解説
解答上の注意点や、補足説明が記載されています。 - Lecture / 質問コーナー
Lectureでは、例題の考え方を一般化した基本事項や補足説明が示されています。また、質問コーナーでは初学者が抱きやすい疑問について、Q&A形式で説明がされています。 - TRAINING
例題の内容が身についているかを確認するための類題です。
白チャートの問題数と難易度
教科書内容を確実に身に着けるために十分な質と量の良問たち
文系:ⅠAⅡBC / 理系:ⅠAⅡBⅢC を目安として参考にしてください。
問題種類 | 数学ⅠA | 数学ⅡBC | 数学Ⅲ | ⅠAⅡBC | ⅠAⅡBCⅢ |
---|---|---|---|---|---|
基本例題 | 137 | 189 | 81 | 326 | 407 |
標準例題 | 61 | 120 | 39 | 181 | 220 |
発展例題 | 81 | 94 | 36 | 175 | 211 |
TRAINING | 279 | 403 | 156 | 682 | 838 |
Exercises | 152 | 220 | 95 | 372 | 467 |
実践編 | 18 | 53 | – | 71 | 71 |
問題数合計 | 728 | 1079 | 407 | 1807 | 2214 |
実際には、文系は数学Cの内容のうち、ベクトルのみを進める場合もあるので、もう少し減ることもあります。
教科書内容を固めて入試につなげる難易度
- 🧭:教科書の例レベル
- 🧭🧭:教科書の例題レベル
- 🧭🧭🧭:教科書の応用例題レベル
- 🧭🧭🧭🧭:教科書章末問題レベル
- 🧭🧭🧭🧭🧭:入試準備レベル
- EXERCISES A :教科書の例題~応用例題レベル
- EXERCISES B :教科書の応用例題~入試準備レベル
- 実践編:入試準備レベル
Let’s Startでの導入は、基礎となる考え方をコンパクトかつ丁寧に解説してくれています。必要に応じて既習範囲の復習も取り入れられており、ほかのチャートシリーズとは一線を画す丁寧さになっています。
とはいえ、より本質的な理解を進めていくには『入門問題精講』が、計算過程などの開設の丁寧さでは『初めから始める』が優れています。
また、チャート式であるがゆえに問題数も決して少なくありません。数学に強い苦手意識がある人や教科書レベルに時間をあまりかけたくないという人は注意が必要です。
到達レベルとしては、 一冊仕上げる(実践編は除く)ことで、全統記述模試で偏差値55が目指せるかなと感じています。『黄チャート(🧭3つまでの例題)』や『プレ1対1対応の演習』『元気が出る数学』『基礎問題精講』などを仕上げたときとほぼ同程度の到達レベルですね。
ほかのチャートシリーズや問題精講シリーズと比べると、抽象度の高い問題に触れる機会が非常に少なく、あくまでも入門書という立ち位置です。1冊やり切ったとしても「入試レベルで通用する数学力が身につくわけではない」ことは理解しておきましょう。
チャート式 基礎と演習(白チャート)の特徴と効果的な使い方
白チャートの特徴
高校数学の基本を確認するのに最適化された問題
『白チャート』は最終目標を大学入試としていますが、あくまでも教科書内容の定着を目的とした問題選定となっています。
例題については『黄チャート』『青チャート』の🧭3つまでの例題とほぼ同レベルです。EXERCISESのレベルも基礎の確実な定着を目指したもので、「大学入試の攻略」を目指すのに必要な確固たる基盤を作ることに特化されています。
入試問題に取り組むうえで絶対に身に着けておくべき基礎を、徹底してトレーニングできるように考えられた問題選定になっています。
充実のコラム
ほかのチャートシリーズと比べても格段に充実しているのが『チャート式 基礎と演習(白チャート)』のコラムです。「CHART NAVI」「STEP forward」「STEP into」「STEP UP!」「ズーム UP」「数学の扉」といった形式のコラムが存在します。
これらのコラムを通して、解答作成のポイントや公式の丁寧な導出、つまずきやすい内容の掘り下げがなされています。この充実のコラムにより、独学で先取り学習を進めていきやすくなっています。
デジタルコンテンツも充実
白チャートは、特に重要で躓きやすい例題に解説動画が無料でついています。すべてをみるという事は非効率ですが、「読んでいるだけではどうしても理解できない」という場合に、解説動画を無料で視聴できるのはありがたいですよね。
白チャートの効果的な使い方
『チャート式 基礎と演習(白チャート)』は、ほかのチャート式と同じように、「網羅系」と言われる参考書です。そのため、演習を通して基本事項を身に着けていくことが目標となる参考書となります。ここで注意が必要なのは、「解法の丸暗記」では効率的な数学学習を進めることはできないということです。この点を解決するために用意されているのが、豊富なコラムです。このコラムを有効に活用することで、数学的な理解を深めながら学習を進めることができるようになっています。
ここからは、そんな『白チャート』を有効に活用するためにおすすめの使い方を紹介していきます。
1周目の流れとポイント
1周目のポイントは、何よりも「基本知識を確実みにつけ、基礎となる考え方を理解すること」です。スピードよりも、質を重視して丁寧に取り組むことを意識しましょう。
- Let’s Startを確認する
まずは、面倒がらずにきちんと〔Let’s Start〕の内容を確認しましょう。このとき、あやふやであったり、書いていることが理解できなかったりという場合には既習範囲(特に中学数学)の復習に取り組んだり、より詳しく解説が丁寧な参考書にまずは取り組むようにしたりしてください。
まずは基礎知識の確実なインプットを目指すことが大切です。 - 例題を解く
〔Let’s Start〕で基本事項を確認できたら、例題が解けるかトライします。
解けたら◯(=復習しなくていい意味の印)をつけてください。このとき、たんに「答えがあっていたからOK」としてしまうのではなく、解説などをじっくりと読み込み、抜けている知識や勘違いがないかのチェックを絶対に行うようにしましょう。
間違えたり、解き方がわからなかったりという場合には、すぐに×(=復習すべきという意味の印)をつけ、解説を熟読して下さい。
1周目は、正しい解き方や考え方を新たに増やす段階です。知識がない状態で長い時間をかけて考えても効率が悪いだけで得るものは少なくなります。少し(5分程度)考えてみて分からなければ、すぐに解説を確認し、解法を習得することを優先しましょう。このときに、「〜という式(文言)があったら、〜をする」というif-thenの形で入れていくと応用性が高まります。 - 例題下のTRAININGを解く
例題でインプットした知識が身についているかを確認します。例題できちんと知識をインプットできていれば、例題が解けなくても、TRAININGは解けるはずです。例題と同じように、解けたら◯、間違えたり、解き方がわからなかったりという場合には×をつけましょう。
例題には×がつき、TRAININGには◯がつく問題も多いはずです。そういった問題は、2周目では例題だけやればOKなので、復習(周回)の効率がとても高くなります。
コラムは、絶対に読み飛ばさずに熟読してください。公式の導出や解答の書き方、問題へのアプローチ方法などの非常に重要な情報が盛り込まれています。コラムを最大限活用し、数学の本質的理解や、問題への正しい向き合い方などを身に着けましょう。
1周目はできない問題が多くなるかもしれません。ですが、これは誰でも(最難関大学の合格者であっても)同じなので気にしてはいけません。そもそも新しい解き方を身につけるために勉強しているのですから、1周目からは解けなくて当たり前なのです。
「この問題」を解くための知識は、言い換えると丸暗記です。これでは、応用性が低く、貴重な記憶容量の無駄使いです。1つの問題を通して応用性の高い知識を見つけ出すことは簡単ではないですが、「このタイプの問題が出たらこう解いたらいいのでは?」と、自分なりに攻略法を見つけるようにしてください。
わからない問題が出てきたときに、解説を読んで15分経ってもわからないというばあいには、それ以上時間をかけてもその時点で理解できるようにはなりません。より基本的な内容の復習ができるの参考書に戻ったり、次の周回に回したりといった対応をとるようにしましょう。何度か繰り返している過程で解けるようになります。
2周目以降の流れとポイント
2周目以降に取り組むときのポイントは、1周目で学んだ解法を「自分自身の思考パターン」として、確実に定着させていくことです。定期テストや最終目標となる大学入試は、「自分の考えを、制限時間内に正しく採点者に伝える」というゲームだといえます。反復演習で優先すべきことは解法の理解・定着ですが、限られた時間内に正確に再現するスピードにも意識を向けていきましょう。
- ×のついた例題、TRAININGを中心に進める
前の周回のときに×のついた例題、練習について、1周目と同様に、例題→TRAININGの順に解き進めていきましょう。このとき、すでに〇のついているものについてはサッと確認するだけ(3周目以降は完全に飛ばす)でもかまいません。ただし、少しでも不安な場合には答案を書きだすようにしてください。また、CHART&GUIDEやLectureを読み飛ばすことは絶対に避けてください。 - 章末のEXERCISESを解く
7~8割の例題、TRAININGに解答できるようになった章については、章末のEXERCISESを解いてみてください。このとき、定期テストや入試本番での時間を意識し、大問ごとに設定されているレベル数×2分程度を目標に取り組むようにしましょう。時間内に正解できなかった問題については、例題に戻り基本を確認しなおし確実に定着させてください。
『白チャート』を進める目的は、入試数学の基礎となる基本事項を確実に習得することです。入試で初見の問題に対応できるかどうかは、「教科書レベルの基本事項」をいかに自分で組み合わせることができるかで決まります。そのための第1段階が、基本的な問題で「なぜそう解き進めるのか」を説明できることです。答えが合うこと以上に、解法がきちんと説明できることを意識するようにしましょう。
どんな人に『チャート式 基礎と演習(白チャート)』はおすすめ?
教科書内容をガッチリ固めたい、中堅~難関大志望で低学年の人におすすめです。
特に、独学でどんどん先取り学習を進めていきたいという場合に非常に使いやすいので、ぜひ効果的に活用してください。
『白チャート』がオススメの人
中堅以上の大学を目指す中学3年生~高校1年生
『白チャート』は、大学を目指す人が絶対にみにつけておかなければならない基礎を、確実に固めるのに適した網羅系参考書です。このレベルを目指す人は、最終的には『1対1対応の演習』や『プラチカ』のような入試標準レベルに対応できる参考書や、『新数学演習』や『ハイレベル数学の完全攻略』といったハイレベルな問題に取り組むことが必要です。これらに取り組むうえで絶対に習得しておかなければならない「高校数学の基礎」をがっちり固めることができるのが『白チャート』です。
チャートシリーズの中で最も見やすいレイアウトと詳しく丁寧な導入により、独学でも確実に数学の基盤を固めていけるのが『白チャート』だと思います。
とはいえ、『白チャート』だけでは入試レベルに対応することはできません。〔EXERCISES〕までマスターできたら、『青チャート』『NEW ACTION LEGEND』『Focus Gold』のような入試標準レベルの解法を学べる参考書に取り組み、本格的な受験勉強を開始していくことが必要です。そのため、高校1年生の間には受験に必要な範囲については、白チャートでの学習を完了していることが絶対条件といえます。
中堅~難関大志望で、学校の進度に関係なくどんどん先取りで学習を進めていきたい人は、『白チャート』をぜひ効果的に活用してください。
共テ重視の国公立大学や日東駒専・産近甲龍レベルの大学が志望の人
このレベルを目標とする人にとって重要なのは、教科書内容を確実に定着させたうえで、入試頻出の基本事項をミスなく使いこなすことです。『白チャート』は、教科書レベルを盤石にすることができる1冊です。
この1冊を丁寧に反復することで、確かな基礎を効果的に身に着けてください。
白チャートで基礎が固まった後は、『入試数学の基礎徹底』などで基礎をより盤石にできると理想的です。
あまりオススメとは言えない人
網羅系の宿命として、「問題数が多い=仕上げるのにある程度の時間が必要」という面があります。そのため、本番までの時間が少ない人が手を出すのは非常に危険です。また、「網羅系は1冊だけにしておきたい」という人は到達レベルが入試レベルには達していない点に注意し、安易に手をださないようにしてください。
『チャート式 基礎と演習(白チャート)』の後にやるべき参考書は?

ここでは、『白チャート』が仕上がった後に何を進めていくべきかを志望校別に紹介します。
本来、一人一人の状況で全く変わってしまう参考書の選び方ですが、これまでの経験から「失敗しにくい一例」として参考書学習のルートをいくつか紹介していきます。よければ参考にしてください。
難関大学(旧帝大・早慶上理)が志望の人
難関国公私立大学を目指す人は、入試標準から応用レベルの問題を取りこぼさずに得点しきることが求められます。そのためには、相応のレベルの問題を徹底して演習することが必要です。このことから、以下のようなルートがオススメです。ただし相応の時間が必要なのでその点は注意してください。
白チャート(EXERCISESまで)→青チャート(総合演習 第1部まで)→1対1対応の演習+合格る計算→新数学スタンダード演習+数学ⅢCスタンダード演習→過去問
遅くとも高2の8月には青チャートまでを終わらせるのが絶対条件です。青チャートの後は、大学への数学シリーズの『1対1対応の演習』、『スタ演(ⅢCも含む)』に進むのが効果的で最もオススメです。取り組むべき問題数が非常に多くなるため、本番までの残り時間を考えたときに、問題数を絞る必要があるようなら『理系数学入試の核心(標準編)』や『やさしい理系数学』を使うのもありでしょう。演習を進める中で時間配分や解答スピードを意識し、試験本番でも通用する対応力をみにつけてください。
入試標準レベルを固めたうえで、さらに柔軟な思考力や発想力を身につけることが必要です。そのため、可能であれば初めから『青チャート』や『New Action Legend』を利用するのが本来はおすすめです。そのうえで、過去問演習と並行して、『上級問題精講』や『新数学演習』『ハイレベル理系数学』といった問題集に取り組み、深い思考を要する問題への対応力をみにつけてください。
GMARCH・関関同立・中堅国公立大学が志望の人
このレベルの大学を志望する場合、入試標準レベルの問題の演習をいかに効果的に積み上げるかがポイントになります。標準レベルの問題を確実に解ききる力を身につけたうえで、応用問題に少しでも触れておくというつもりで学習を進める必要があるため、相応の時間をかけて取り組む覚悟が必要です。ルートとしては、以下がおすすめです。
白チャート(EXERCISESまで)→黄チャート/青チャート(いずれもEXERCISESまで)→1対1対応の演習+合格る計算→理系数学入試の核心(標準編)/文系数学の入試の核心/国公立標準問題集Can Pass(Can Passは国公立志望のみ)+合格る計算→過去問
注意してほしいのは、計算練習にも積極的に時間を取り、確固たる計算力を作り上げておくことが重要だという点です。『合格る計算』などにより、速さと正確性の両方を鍛え上げるようにしてください。
共テ重視の国公立大学や日東駒専・産近甲龍レベルの大学が志望の人
このレベル帯の大学を目標とする場合、いかに「基礎レベル」を自在に扱えるかがポイントになります。そのため、徹底した基礎固めが最優先事項です。まずは、『白チャート』で基礎レベルを盤石なものにしましょう。その後は、実際に志望校の過去問に取り組んでみてください。過去問演習で少しでも不安なところが出てきた場合には、例題をじっくり確認しなおすようにするのが大切です。
白チャート(EXERCISESまで)+ドラゴン桜式計算力ドリル→入試数学の基礎徹底→過去問(+入試数学の基礎徹底/数学ⅢCの入試基礎)
演習不足が気になる場合には、『入試数学の基礎徹底』『数学ⅢCの入試基礎』を使ってみるのがいいでしょう。 また、『ドラゴン桜式計算力ドリル』などで計算練習を徹底して行うことも忘れずに行いましょう。
独学でも安心!『白チャート』で教科書レベルを徹底マスター
『白チャート(チャート式 基礎と演習)』は、数学の基礎を丁寧に積み上げたい人にとって最適な一冊です。チャート式シリーズの中では最も導入が丁寧で、これから高校数学を本格的に始める人が取り組みやすい構成になっています。特に、高校数学の先取りを進めたいという意欲的な中高生にとって強力な味方です。
『白チャート』は、各節に〔Let’s Start〕→〔例題〕→〔TRAINING〕が設けられており、基本事項を確認したあとに典型的な解法を学び、演習を通じて定着を図れる構成になっています。また、章末には〔EXERCISES〕、巻末には〔実践編〕が用意されており、段階的に無理なく取り組めるよう配慮されています。これにより、高校数学の基礎を確実に固め、入試基礎レベルへとスムーズに移ることが可能です。
さらに、紙面構成は見やすく整理されており、多様なコラムや解説動画も充実しています。解法の流れや考え方を丁寧に解説してくれるため、教科書内容を理解しながら進めたい人や、独学での先取り学習を進めたい人が安心して使用できます。
ただし、このレベル帯を習得するうえでは問題数が多いことには注意が必要です。数学に充てる時間が多く取れない人や、できるだけ短期間でこのレベルの学習を進めたい人にとっては、やや扱いづらいかもしれません。学習時間や志望校との兼ね合いで、必要な範囲にしぼって使うことも一つの方法です。
『白チャート』をしっかりとやり切ることで、『青チャート』や『1対1対応の演習』などの発展的な教材への橋渡しが可能になります。中堅~難関大を早い段階から目指している中学生や高校生が、その後の学習をスムーズに進めるための土台を作る教材として非常に有効です。
高校数学の先取り学習を進めたい中高生はもちろん、教科書レベルが不安という人にとっても、『白チャート』は力強い学習パートナーとなりえます。この一冊を丁寧に積み上げていくことで、確かな基礎と自信を手に入れ、入試突破への一歩を踏み出してください。
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