皆さんは図形問題と言われたときに、「いやだな」とか「苦手だ」と感じたりはしていませんか?
私自身も、図形の問題は「似たような公式がいっぱい出てきて面倒」とか「もっとセンスがあればな~」と感じ、どちらかというと苦手な意識がありました。
今回紹介する『数学の真髄 ベクトル』は、こうした図形の問題に抱きがちな抵抗感をなくし、図形問題を攻略する重要なアイテムの1つである”ベクトル”についての理解を徹底的に深めて『最強の武器』にできる参考書です。
なお、本書は 数学の真髄 論理・写像 の続編です。気になる人はこちらも読んでみてください。
数学の真髄 ベクトル の概要
出版社:ナガセ
著者:青木純二(あおきじゅんじ)
サイズ:A5判
定価:1,650円 総ページ数:312ページ
本書の目標
この参考書の目標は
ベクトルのおかげで、他の数学的事象について「当たり前」と思えるようになる
ということです。 問題を解くためだけのベクトル学習ではなく、ベクトルについての深く本質的な理解を進めることができます。
本書の4つの特徴
様々な入試問題を考えるうえで広く応用できる概念が身につく 講義
教科書や多くの参考書には登場しないが、入試問題を解く上で必須になる概念を開設してくれています。教科書の内容について、「そういうことだったんだ!」という発見が多く得られるはずです。
「計算」ではなく「図形的考察」
「計算処理による解法」よりも「図形的考察による解法」を重視した内容です。
「計算で解く」のではなく、「考えて解く」とはどういうことかを学び、計算しなくても答えがわかるようになっていけます。
公式を自作して使える ようになる
公式は暗記するものではなく、「意味を考えれば当たり前、いつでも作れる」という感覚を身につけ、入試問題に適用できるようになります。
論理的な答案作成能力が鍛えられる
厳選された実践問題で、講義で学んだ考え方をがっちり鍛えていけます。
使うべき人は?
本書を有効に活用できるのは、著者的には
- 東大/京大といった難関大学に合格したいと強く思っている
- 教科書の内容は一通り頭に入っている
- 教科書の章末問題や同等のレベルの問題はスラスラ解ける
- 論理の基本がある程度理解できている
という4つの条件を満たしている人です。
ですが、強い意志とある程度の知識がないと、心を折られることになってしまいます。
このため、実際に本書に取り組むべきなのは「東大・京大といった最難関大学志望で、入試標準レベルの問題はサッと解ける」という人に限られるかなと思います。
もちろん、これ以外の大学志望の人でも、入試標準レベルが身についており、大学入学後に数学をしっかりと学びたいという意思が高ければ取り組む価値は十分あります。ただし、他の科目とのバランスには十分注意してください。
間違っても、教科書レベルが怪しい人は手を出さないようにしましょう。
数学の地図を広げるベクトル。図形をもっと自由に!
今回紹介した数学の真髄 ベクトル は、「教科書では体験できない数学的な楽しさ」を「ベクトル」というメインテーマによって伝えようとしてくれています。教科書では扱っていない内容にも触れたり、数学の真髄 論理・写像 の内容を理解していないと読み進めるのがやや難しかったりします。使用者を選ぶ点がやや残念ですが、難関大学志望者には、ぜひ手に取ってほしいおすすめの参考書です。
巻頭で青木先生は「『ベクトルを学んだおかげで、いろいろな数学的事象が当たり前に見えてきた』と思う高校生が一人でも増えてくれたら」と語られています。本当にその通りだと思います。
高校生の皆さんは、「図形はセンス」「公式を覚えて当てはめるしかない」といったあきらめ姿勢の勉強をするのではなく、冷静に図形的考察ができるようになってください。
そのためにはある程度の時間が必要で、少し遠回りに感じるかもしれませんが、必ず未来を切り開くための土台となるはずです。
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