共通接線の方程式

共通接線の方程式

 異なる2つの曲線に同時に接する直線を共通接線と呼ぶ。本来、この曲線は円・楕円・双曲線など様々なものが存在するが、ここでは、整式についてみていく。

汎用型:係数比較

 それぞれの曲線の接線を求め、係数比較により2式が一致するようにする
異なる接点を別々に設定するため、文字が2つ必要となり計算量が増えやすいが、関数の種類によらず適用できる。また、接点そのものを求めることも容易である。

2次関数型:判別式の利用

 2曲線のうち、2次関数でない方を$f(x)$,2次関数である方を$g(x)$とおく。このとき、$f(x)$の接線と$g(x)$が重解を持つ条件を判別式により定める。この判別式が2次関数専用であるため、2つの曲線のうち少なくとも一方が2次関数である場合にのみ適用できる$g(x)$上の接点を求めることが必要な場合、やや手間を要する点には注意がいる。

2曲線が接する場合

 『2曲線が$\ x=p\ $で接する』⇔『2曲線が同一の接点($\ x=p\ $)において共通接線を持つ』であり、その条件は
$\begin{eqnarray} &\ &\left\{ \begin{array}{1} \textcolor{mediumorchid}{f(p)=g(p)}\quad (\textcolor{limegreen}{接点のy座標が一致})\\[3pt] \textcolor{mediumorchid}{f'(p)=g'(p)}\quad (\textcolor{limegreen}{接線の傾きが一致}) \end{array} \right. \end{eqnarray}$
である。
共通接線を持つならば2曲線が交差する場合でも『2曲線が接する』といえることを覚えておいてほしい。

例題に挑戦しよう

≪問題≫

[1] $y=1-x^2\ $と$\ y=x^2-2x+2\ $のどちらとも接する直線の方程式を求めよ。

[2] 2曲線$\ y=x^2-5,\ y=x^3-8x+7\ $の共通接線の方程式を求めよ。

[3] 2曲線$\ y=x^3-x,\ y=x^2+a\ $が共有点を持ち、その点で接している。このときの$\ a\ $の値と、接点における共通接線の方程式を求めよ。

≪解答・解説≫

それぞれの曲線における接線の方程式を求め、係数を比較する。

[1]
$f(x)=-x^2+1,\ $ $g(x)=x^2-2x+2\ $とする。
$f(x)$上の点を$\textcolor{limegreen}{A(a,f(a))}$、$g(x)$上の点を$\textcolor{mediumorchid}{B(b,g(b))}$とおくと、

点$A$における接線の方程式は
$\textcolor{cornflowerblue}{f'(a)=-2a}\ $より
$\begin{eqnarray} y-f(a)&=&f'(a)(x-a)\\[3pt] \Leftrightarrow y&=&(\textcolor{cornflowerblue}{-2a})(x-\textcolor{limegreen}{a})+(\textcolor{limegreen}{-a^2+1})\\[3pt] \Leftrightarrow y&=&-2ax+a^2+1\qquad ・・・・・・➀ \end{eqnarray}$

点$B$における接線の方程式は
$\textcolor{palevioletred}{g'(b)=2b-2}\ $より
$\begin{eqnarray} y-g(b)&=&g'(b)(x-b)\\[3pt] \Leftrightarrow y&=&(\textcolor{palevioletred}{2b-2})(x-\textcolor{mediumorchid}{b})+(\textcolor{mediumorchid}{b^2-2b+2})\\[3pt] \Leftrightarrow y&=&2(b-1)x-b^2+2\qquad ・・・・・・➁ \end{eqnarray}$

➀,➁の係数を比較すると、
$\begin{eqnarray} &\ &\left\{ \begin{array}{1} \textcolor{hotpink}{-2a=2(b-1)}\\[3pt] \textcolor{hotpink}{a^2+1=-b^2+2} \end{array} \right. \end{eqnarray}$
よって、$(a,\ b)=(0,\ 1),\ (1,\ 0)$

∴ 求める方程式は$\qquad \boldsymbol{y=1,\ y=-2x+2}$

[2]
$f(x)=x^3-8x+7,\ $ $g(x)=x^2-5\ $とする。
$f(x)$上の点を$\textcolor{limegreen}{A(a,f(a))}$とおくと、
点$A$における接線の方程式は
$\textcolor{cornflowerblue}{f'(a)=3a^2-8}\ $より
$\begin{eqnarray} y-f(a)&=&f'(a)(x-a)\\[3pt] \Leftrightarrow y&=&(\textcolor{cornflowerblue}{3a^2-8})(x-\textcolor{limegreen}{a})+(\textcolor{limegreen}{a^3-8a+7})\\[3pt] \Leftrightarrow y&=&(3a^2-8)x-2a^3+7\qquad ・・・・・・➀ \end{eqnarray}$

これが$\ y=g(x)\ $と接するとき、
➀と$\ y=g(x)\ $を連立して、$y$を消去し整理した
$\begin{eqnarray} &\ & (3a^2-8)x-2a^3+7=x^2-5\\ &\Leftrightarrow & \textcolor{hotpink}{x^2-(3a^2-8)x+2(a^3-6)=0} ・・・・・・➁ \end{eqnarray}$
が重解を持つ。

よって、➁の判別式を$D$とすると
$\begin{eqnarray} D&=&(3a^2-8)^2-4\cdot 2(a^3-6)\\ &=&9a^4-8a^3-18a^2+25\\ &=&(a-2)^2(9a^2+28a+28)=0 \end{eqnarray}$
となり、このとき$\ a=2$

∴ ➀に$\ a=2\ $を代入し、求める方程式は
$\qquad \boldsymbol{y=4x-9}$

[3]
$f(x)=x^3-x,\ g(x)=x^2+a\ $とする。
$\ x=p\ $における$\ f(x)\ $の接線は
$y=(3p^2-1)x-2p^3$
であり、$\ x=p\ $で$\ f(x)\ $と$\ g(x)\ $が接する条件は

$\begin{eqnarray} &\ &\left\{ \begin{array}{1} f(p)=g(p) \Leftrightarrow \textcolor{mediumorchid}{p^3-p=p^2+a}\qquad ・・・・・・➀\\[3pt] f'(p)=g'(p) \Leftrightarrow \textcolor{mediumorchid}{3p^2-1=2p}\qquad ・・・・・・➁ \end{array} \right. \end{eqnarray}$
である。

➁より、
$\begin{eqnarray} 3p^2-2p-1 &=& 0\\ (3p+1)(p-1) &=& 0\\ p &=& 1,\ -\dfrac{1}{3} \end{eqnarray}$

よって、➀より
$p=1\ $のとき、$a=1$
$p=-\dfrac{1}{3}\ $のとき、$a=\dfrac{5}{27}$

以上より、
$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{1} \boldsymbol{a=1}\ のとき、共通接線:\boldsymbol{y=2x-2}\\[3pt] \boldsymbol{a=\dfrac{5}{27}}\ のとき、共通接線:\boldsymbol{y=-\dfrac{2}{3}x+\dfrac{2}{27}} \end{array} \right. \end{eqnarray}$

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