皆さんは、数研出版の『チャート式』をご存じですか?非常に歴史のあるシリーズなので、網羅系といわれる参考書の代表として、知っている人が多いかもしれませんね。そんなチャート式シリーズの一つに、『青チャート(正式名称:チャート式 基礎からの 数学〇〇)』が存在します。歴史の長さや学校採用率の高さにより、チャートシリーズの中でも使用率が高いのが、この『青チャート』です。いわゆる網羅性(カバーしている解法パターン)はシリーズの中で最も高く、基礎内容の確認から入試対策までカバーできます。難関大志望者でもこの1冊をやり切ることで合格に必要な数学力をみにつけることができるレベルです。
また、数研出版の教科書を使っている人や『数学重要問題集』を使用する予定という人にとっては、これらとの対応が明確で相性が非常に良いのもうれしいポイントといえます。
この記事では、そんな『青チャート』がどのような参考書なのかについて見ていきます。
より自分に合った参考書を選ぶことができるように、そして、手にした参考書を完成させることができるように、参考にしてみてください。
また、チャート式のシリーズ全般について紹介した記事や、他のオススメ参考書について紹介している記事も投稿しています。まだ見ていないという人はぜひそちらも参考にしてみてください。
数学力の向上のために抑えておきたいポイント
皆さんは、「数学はセンスだ」とか「発想力があれば何とでもなる」と思っていませんか?確かに、最難関大学の入試問題の中には「解答方針が立てられるかどうかが勝負」という問題も存在します。ですが、多くの入試数学の問題は「典型的な解法や考え方が理解できているかを確認する」問題です。極端な言い方をすると、「基本的な解法を覚えているかが勝負」という事になります。
しかしそれは、「あらゆるパターンの問題を丸暗記して解けるようにする」という事ではないという点に十分に注意してください。入試本番で、これまでに見たのとまったく同じ問題に出会うことはほぼあり得ません。解法の丸暗記だけでは合格点を取ることはできないという事です。
これを防ぐために大事なことは、「問題文に書かれた条件や意味を理解し、どのようにアプローチすれば良いかを考える」ことです。言い換えると、問題をいくつかのプロセスに分け、段階的に考えて、正解に自分の力で一歩ずつ近づいていくということになります。 一つ一つの問題からきちんと一般的な法則を見つけ、それらを体系化・整理することつまり、「良い道具をそろえて、使い方をきちんと理解・整理しておく」のが大切だということですね。
チャート式 基礎からの(青チャート)の概要
チャート式 シリーズ(網羅系4種)のうち、上から2番目のレベル(白チャート<黄チャート<青チャート<赤チャート の順で右に行くほどレベルが高くなります)なのが『青チャート』です。きちんと完成させれば、全統記述模試(河合塾)での偏差値65~70には到達できます。理系最難関を目指すには『青チャート』だけではやや不安がありますが、文系であれば最難関大の入試にも問題なく対応可能な到達レベルです。
今回の改定でレイアウトはこれまでよりも見やすくなり、以前から充実していたコラムも、入試につながる内容がより充実しています。このことから、『青チャート』は難関大を目指す多くの人におすすめできる「数学に苦手意識がない人であれば問題なく取り組め、数学力を鍛えることができる」シリーズです。
なお、比較されることの多いほかの網羅系の参考書と最高到達レベルを比べると、おおよそ『黄チャート<New Action Frontier<New Action Legend≒青チャート<Focus Gold』といったイメージになります。
とはいえ、『黄チャート』や『New Action Frontier』でもきちんと完成させれば、全統記述模試(河合塾)での偏差値60~65が目指せるレベルです。さらに高みを目指す人であっても、その目的に適した参考書は豊富にそろっています。このため、すでにほかの網羅系参考書を使っている人が焦って買い替える必要はないので安心してくださいね。
出版社とおすすめ度

〈おすすめ度:★★★☆☆〉
出版社:数研出版
著 者:チャート研究所
サイズ:A5判
『青チャート』は非常に素晴らしい参考書です。数研出版から出されている非常に歴史のあるシリーズで、その信頼性はとても高いといえます。一方で、歴史のある代表的な網羅系参考書であるがゆえに、『New Actionシリーズ』や『Focus Gold』といった比較的新しい網羅系シリーズと比べると「教科書に忠実で個性が少ない」と感じる面があります。
このため、幅広い人が無難に使える半面、強力におすすめできる特徴といえるものがないというのが正直な感想です。
ただ、どれにすればいいか判断に迷っているという人にとっては、『青チャート』がbetterな選択で、はずれがないという事は断言できます。(やり切る意思とそれなりの時間が確保できるのであればですが…)
青チャートの種類
チャート式には、店頭販売しているものと学校専売品が存在しています。
店頭販売品は別冊解答が本体に挟み込む形になっているのに対して、専売品は完全分冊タイプであるという点が違いといえます。また、学校専売品の方が定価はやや安く設定されています。
現行課程版での販売状況と定価は下表です。
種類 | 学校販売価格 (単位:円/税込み) | 店頭販売価格 (単位:円/税込み) |
---|---|---|
数学Ⅰ | 1,430 | 1,540 |
数学A | 1,375 | 1,485 |
数学Ⅰ+A | 2,145 | 2,255 |
数学Ⅱ | 1,650 | 1,760 |
数学B | 1,276 | 1,386 |
数学Ⅱ+B | 2,321 | 2,431 |
数学Ⅱ+B+C(ベクトル) | 2,541 | 販売ナシ |
数学C | 1,430 | 1,540 |
数学Ⅲ | 1,650 | 1,760 |
数学Ⅲ+C | 2,431 | 2,541 |
数学Ⅲ+C(複素数平面、式と曲線) | 2,211 | 販売ナシ |
青チャートの構成
店頭販売品、学校専売品とも基本構成は変わりませんので、以下でまとめて紹介していきます。
本体構成
章トビラ
目的に応じた例題選択のヒントや、全体像の把握に役立つ、SELECT STUDYと例題の一覧が記載。
例題ページ
本書のメインになるページです。選び抜かれた良問で、大学入試に必要になる知識を基礎から難関大レベルまで網羅的かつ効果的に習得していくことができます。
コラム
「まとめ」「参考事項」「補足事項」「ズームUP」「振り返り」といった多様な内容をカバー。重要事項の詳しい解説や、やや発展的な内容について説明されています。
EXERCISES
原則として、各節末に配置されている類題です。入試の基礎~標準レベルの問題で、例題で学んだ知識がきちんと定着しているかを確認できます。
総合演習 第1部
大学入学共通テストや、入試に頻出かつ複数分野の内容を組み合わせて解く必要のある問題への対応力、思考力を鍛えることができます。
総合演習 第2部
大学入試頻出の典型的な問題を中心に、標準~応用レベルの入試問題に挑戦できます。
例題ページの構成

- 指針
問題を解くときに、把握すべきポイントや方針をいかに立てるかを知ることができます。
この部分をしっかり読み込むことで、「自分で考え正しいルートで解答にたどり着くためのプロセス」をみにつけましょう。 - CHART
問題にとって最も急所となる基本事項を簡潔に提示して、知識の整理をしやすくしてくれています。 - 解答
答案として再現すべき模範解答です。 - 解説
解答上の注意点や、補足説明が記載されています。 - 検討/Point
検討では、例題に関連する内容のまとめや深掘りが、Pointでは、みにつけておくべき特に重要な公式などの再整理が、それぞれできるようになっています。 - 練習
例題の内容が身についているかを確認するための類題です。
青チャートの問題数と難易度
基礎から難関大対策までをカバーできる十分な質と量の良問
文系:ⅠAⅡBC / 理系:ⅠAⅡBCⅢ を目安として参考にしてください。
問題種類 | 数学ⅠA | 数学ⅡB+C | 数学Ⅲ | ⅠAⅡBC | ⅠAⅡBCⅢ |
---|---|---|---|---|---|
基本例題 | 269 | 392 | 140 | 661 | 801 |
重要例題 | 68 | 118 | 60 | 186 | 246 |
演習例題 | 13 | 25 | 15 | 38 | 53 |
例題合計 | 350 | 535 | 215 | 885 | 1100 |
練習問題 | 350 | 535 | 215 | 885 | 1100 |
EXERCISES | 241 | 343 | 176 | 584 | 760 |
総合演習 | 66 | 92 | 43 | 158 | 201 |
合計問題数 | 1007 | 1505 | 649 | 2512 | 3161 |
実際には、文系は数学Cの内容のうち、ベクトルのみを進める場合もあるので、もう少し減ることもあります。
難関大対策までしっかりカバーできるバランスの取れた難易度
- 🧭:教科書の例レベル
- 🧭🧭:教科書の例題レベル
- 🧭🧭🧭:教科書の章末問題~入試基礎レベル
- 🧭🧭🧭🧭:入試基礎~標準レベル
- 🧭🧭🧭🧭🧭:入試標準~応用レベル
- EXERCISES:入試基礎~標準レベル
- 総合演習 1部:大学入学共通テスト+αレベル
- 総合演習 2部:入試標準~応用レベル
基本ページでの導入は、コンパクトでありながら重要事項を網羅しており、教科書内容の再確認を短時間で進めるのに最適です。とはいえ、『白チャート』や『入門問題精講』『初めから始める』といった入門レベルと呼ばれる参考書のように親切・丁寧とは言えないので、本当の初学者や数学に苦手意識がある人にとっては少しハードルが高いといえます。
🧭×3までのマスターで、全統記述の偏差値の目安がおおよそ55です。ほかの参考書でいうと、『プレ1対1対応の演習』や『元気が出る数学』『基礎問題精講』などを仕上げたときと同程度の到達レベルです。
🧭×4までのマスターで『黄チャート』の例題(🧭5つまで)や『Focus Gold』の例題(*3つまで)『New Action Legend』の例題(★4つまで)を仕上げたときと同程度の到達レベルになります。全統記述の偏差値の目安はおおよそ60です。
🧭×5までのマスターで『Focus Gold』の例題(*4つまで)『New Action Legend』のLet‘s Tryまでを仕上げたときと同程度の到達レベルになります。全統記述の偏差値の目安はおおよそ65です。
総合演習 2部まで仕上げることができれば、旧帝大などの難関大学入試にも喰らいつけるようになります。『Focus Gold』をLevel Upまで仕上げたときとほぼ同等の到達レベルで、全統記述の偏差値の目安はおおよそ70です。
チャート式 基礎からの(青チャート)の特徴と効果的な使い方
青チャートの特徴
基礎~難関大入試レベルまで幅広くカバーする例題のラインナップ
『青チャート』は大学入試を意識しつつ基礎の確認からしっかりと進めることができる問題選定となっています。入試で必要になる基礎知識の確認を行いつつ、1冊で難関大学合格を十分に狙えるという対応幅の広いレベル設定です。
例題については『Focus Gold』『New Action Legend』とほぼ同レベルです。総合演習では、「難関大入試の攻略」を目指すのに必要な問題が厳選されており、入試本番で取りこぼしたくないレベルの問題をキッチリとトレーニングできるようになっています。
充実のコラム
「まとめ」「参考事項」「補足事項」「ズームUP」「振り返り」といった形式のコラムが存在します。これらのコラムを通して、補足事項、発展的事項を学ぶことができ、学習内容をより多角的に見たり、深く理解を進めたりといったことができるようなっています。また、学習者がついつい軽視しがちなポイントを再確認できるようになっているのもうれしい点です。
デジタルコンテンツも充実
『青チャート』のすべての例題に解説動画が無料でついています。すべてをみるという事は逆に非効率ですが、「読んでいるだけではどうしても理解できない」という場合に、解説動画を無料で視聴できるのはありがたいですよね。
青チャートの効果的な使い方
『チャート式』は、『New Actionシリーズ』や『Focus Goldシリーズ』と同じように、「入試で頻出となる典型的な問題への解法パターンを習得する」ことが目標となる参考書です。とはいえ、「解法の丸暗記」では効率的な数学学習を進めることはできません。この点を解決するために、『青チャート』では適宜コラムが配置されています。
ここでは、そんな『青チャート』を有効に活用するためにおすすめの使い方を紹介していきます。
1周目の流れとポイント
1周目のポイントは、基本知識を確実にしたうえで、基礎となる考え方を確実にみにつけることです。スピードよりも、質を重視して丁寧に取り組むことを意識しましょう。
- 基本事項を確認する
まずは、面倒がらずにきちんと〔基本事項〕の内容を確認しましょう。このとき、あやふやであったり、書いていることが理解できなかったりという場合には『入門問題精講』などのより詳しく解説してくれている参考書にまずは取り組むべきサインです。まずは基礎知識のインプットを優先させましょう。 - 例題を解く
必須の基礎事項を確認できたら、例題が解けるかトライします。
解けたら◯(=復習しなくていい意味の印)をつけてください。このとき、たんに「答えがあっていたからOK」としてしまうのではなく、指針や解説をじっくりと確認し、抜けている知識や勘違いがないかのチェックを絶対に行うようにしましょう。
間違えたり、解き方がわからなかったりという場合には、すぐに×(=復習すべきという意味の印)をつけ、指針や解説を熟読しましょう。
1周目は、新しい解き方や考え方を増やすために解いています。知識がない状態で長い時間をかけて考えても効率が悪いだけです。少し(5分程度)考えてみて分からなければ、すぐに解説を確認し、解法を習得することを優先しましょう。このときに、「〜という式(文言)があったら、〜をする」というif-thenの形で入れていくと応用性が高まります。 - 例題下の練習を解く
例題でインプットした知識が身についているかを確認します。例題できちんと知識をインプットできていれば、例題が解けなくても、練習は解けるはずです。例題と同じように、解けたら◯、間違えたり、解き方がわからなかったりという場合には×をつけましょう。
例題には×がつき、練習には◯がつく問題も多いはずです。そういった問題は、2周目では例題だけやればOKなので、復習(周回)の効率がとても高くなります。
1周目はできない問題が多くなるはずです。これは誰でも(東大合格者であっても)同じなので気にしてはいけません。そもそも新しい解き方を身につけるために勉強しているのですから、1周目からは解けなくて当たり前なのです。
「この問題」を解くための知識は、言い換えると丸暗記です。これでは、応用性が低く、貴重な記憶容量の無駄使いです。1つの問題を通して応用性の高い知識を見つけ出すことは簡単ではないですが、「このタイプの問題が出たらこう解いたらいいのでは?」と、自分なりに攻略法を見つけるようにしてください。
わからない問題が出てきたときに、解説を読んで30分経ってもわからないというばあいには、それ以上時間をかけてもその時点で理解できるようにはなりません。より基本的な内容の参考に戻ったり、次の周回に回したりといった対応をとるようにしましょう。何度か繰り返している過程で解けるようになります。
2周目以降の流れとポイント
2周目以降に取り組むときのポイントは、1周目で学んだ解法を「自分自身の思考パターン」として、確実に定着させていくことです。大学入試は、「自分の考えを、制限時間内に正しく採点者に伝える」というゲームだといえます。反復演習で優先すべきことは解法の定着ですが、限られた時間内に正確に再現するスピードにも意識を向けていきましょう。
- ×のついた例題、練習を中心に進める
前の周回のときに×のついた例題、練習について、1周目と同様に、例題→練習の順に解き進めていきましょう。
このとき、すでに〇のついているものについてはサッと確認するだけ(3周目以降は完全に飛ばす)でもかまいません。
ただし、少しでも不安な場合には答案を書きだすようにしてください。また、指針、解説、検討、Pointなどを読み飛ばすことは絶対に避けてください。 - 節末のEXERCISESを解く
7~8割の例題、練習に解答できるようになった節については、節末のEXERCISESを解いてみてください。このとき、本番での時間を意識し、大問ごとに設定されているレベル数×3分程度を目標に取り組むようにしましょう。時間内に正解できなかった問題については、例題に戻り基本を確認しなおし、確実に定着させてください。 - 総合演習に進む
Ⅰ/A/Ⅱ/B/C/Ⅲのそれぞれで、一通りの範囲が学習出来たら、各学習範囲の「総合演習 第1部」に進みましょう。
まずは、Checkで基礎事項をサッと確認し、問題に取り組んでください。〇×をつけながら取り組むというのはこれまでと同じです。第1部をマスターできれば、入試数学で要求される思考力の基盤は固まっているはずです。
第1部をマスターできたら第2部に取り組み、より難関大入試の実践に近いレベルで実力を磨いてください。
「総合演習」の問題は1問15分を目標時間とするのがよいでしょう。ここまでたどり着いたら、本番を意識して「わからなくても一定時間は粘る」「1つの問題に掛けることができる最大時間を守る」という事にも意識を向けることも重要です。
なお、第2部については、『青チャート』だけで数学を仕上げたい人以外は無理に取り組む必要はありません。このレベルの習得には「より最適化された参考書」が多く存在するからです。1冊を隅々まで完璧に仕上げるという姿勢は大切ですが、網羅系参考書でそこにこだわりすぎると非効率になる場合もあることを知っておいてください。
『青チャート』を進める目的は、入試で必要になる基本解法パターンの習得です。入試で初見の問題に対応できるかどうかは、「このタイプの問題が出たらこう解いたらいい」と、自分なりの攻略法を見通すことができるかどうかで決まります。そのための第1段階が、基本的な問題で「なぜそう説き進めるのか」を説明できることです。答えが合うこと以上に、解法がきちんと説明できることを意識するようにしましょう。
どんな人に『チャート式 基礎からの(青チャート)』はおすすめ?
教科書内容をある程度把握できている、中堅~難関大志望の人におすすめです。
特に、学校で使っている教科書が数研出版の場合には相性がよいので、ぜひ効果的に併用してください。
『青チャート』がオススメの人
難関大学が(旧帝大や早慶上理など)志望の人
『青チャート』は、このレベルの大学を目指す人に最適化した網羅系参考書です。『New Action Legend』や『Focus Gold』もこのレベルの人に適していますが、1冊で基礎~目標とすべきレベルまでを最も網羅的にカバーしているのが『青チャート』です。
難関大学を目指す受験生にとって必須となるのは、入試標準レベルの典型問題をミスなく確実に解答することです。そのための「確固たる基礎力」みにつけるのに効果的なのが『青チャート』の例題とコラムです。各例題にじっくり取り組んだうえで〔EXERCISES〕や〔総合演習 第1部〕をこなすとともに、コラムをじっくり読むことで標準レベルを徹底的に鍛えられます。
加えて、〔総合演習 第2部〕に取り組むことで、東大・京大といった最難関大学の入試に必要な力を養成することもできます。
とはいえ、『青チャート』だけではどうしても演習不足になりがちです。〔EXERCISES〕あるいは〔総合演習 第1部〕までマスターできたら、『1対1対応の演習』『新数学スタンダード演習』『数学ⅢCスタンダード演習』のような入試標準レベルの演習書や『新数学演習』のような最難関向けの参考書に取り組み、高いレベルでの実戦力を磨くようにしましょう。
難関大志望で基盤からがっちりと固めたいという人は、『青チャート』をぜひ効果的に活用してください。
中堅国公立大学やGMARCH、関関同立レベルの大学が志望の人
『青チャート』は、このレベルを目指す人にももちろんおススメです。このレベルを目指す人がやるべきことは、標準レベルの問題を確実に解ききれるようになること、そして「不用意なミスで失点しないこと」です。
『青チャート』の〔例題〕や〔EXERCISES〕にしっかりと取り組むことで、標準レベルの問題への対応力を磨き上げるようにしてください。併せて、『1対1対応の演習』『新数学スタンダード演習』『数学ⅢCスタンダード演習』といった入試標準レベルの演習書で標準レベルの演習に十分に慣れることも重要です。
また、『合格る計算』などで確固たる計算力をみにつけることも忘れずに行ってくださいね。
あまりオススメとは言えない人
網羅系の宿命として、「問題数が多い=仕上げるのにある程度の時間が必要」という面があります。そのため、本番までの時間が少ない人が手を出すのは非常に危険です。さらに、基礎から始まりつつも最終到達レベルの高い『青チャート』は、網羅系参考書の中でも習得すべき例題数が多くなってしまいます。そのため、網羅系参考書の中でも消化不良になるリスクが高いです。目標としているレベルがそこまで高くないという人や、「数学に苦手意識がある」「まったく未習の状態で予習する」という人は特にこの点に注意し、安易に手をださないようにしてください。
また、すでに『New Action Legend』『Focus Gold』『黄チャート』『合格る数学』などを使用しているのであれば、あえて乗り換える必要はありません。まずはいま取り組んでいる網羅系の参考書をきっちりと仕上げ、次のステップで何を使うかをじっくりと検討するようにしましょう。
『チャート式 基礎からの(青チャート)』の後にやるべき参考書

ここでは、『青チャート』が仕上がった後に何を進めていくべきかを志望校別に紹介します。
本来、一人一人の状況で全く変わってしまう参考書の選び方ですが、これまでの経験から「失敗しにくい一例」として参考書学習のルートをいくつか紹介していきます。よければ参考にしてください。
難関大学(旧帝大・早慶上理)が志望の人
難関国公私立大学を目指す人は、入試標準から応用レベルの問題を取りこぼさずに得点しきることが求められます。そのためには、相応のレベルの問題を徹底して演習することが必要です。このことから、以下のようなルートがオススメです。ただし相応の時間が必要なのでその点は注意してください。
青チャート(総合演習 第1部まで)→1対1対応の演習+合格る計算→新数学スタンダード演習+数学ⅢCスタンダード演習→過去問
大学への数学シリーズの『1対1対応の演習』、『スタ演(ⅢCも含む)』に進むのが効率的で最もオススメです。取り組むべき問題数が多めになるため、本番までの残り時間を考えたときに、問題数を絞る必要があるようなら『理系数学入試の核心(標準編)』や『やさしい理系数学』を使うのもありでしょう。演習を進める中で時間配分や解答スピードを意識し、試験本番でも通用する対応力をみにつけてください。
入試標準レベルを固めたうえで、さらに柔軟な思考力や発想力を身につけることが必要です。過去問演習の前に総合演習 第2部にも取り組んだうえで、過去問演習と並行して、『上級問題精講』や『新数学演習』『ハイレベル理系数学』といった問題集に取り組み、深い思考を要する問題への対応力をみにつけてください。
GMARCH・関関同立・中堅国公立大学が志望の人
このレベルの大学を志望する場合、入試標準レベルの問題の演習をいかに効果的に積み上げるかがポイントになります。標準レベルの問題を確実に解ききる力を身につけたうえで、応用問題に少しでも触れておくというつもりで学習を進めましょう。そのためにも以下のようなルートがおすすめです。
青チャート(EXERCISESまで)→1対1対応の演習+合格る計算→理系数学入試の核心(標準編)/文系数学の入試の核心/国公立標準問題集Can Pass(Can Passは国公立志望のみ)+合格る計算→過去問
注意してほしいのは、計算練習にも積極的に時間を取り、確固たる計算力を作り上げておくことが重要だという点です。『合格る計算』などにより、速さと正確性の両方を鍛え上げるようにしてください。
迷ったらコレ!『青チャート』で数学の力を飛躍させる
『チャート式 基礎からの(青チャート)』は、数学を得点源にしたい人や難関大入試の数学を突破したい人にとって強力な味方です。教科書の内容からしっかりと確認しつつ、基礎から標準、さらには発展的な問題まで網羅されており、段階的に学べる構成になっています。計画的に学習を進めることで、着実に数学力を伸ばすことができます。
『青チャート』では、〔基本事項〕で基礎を確認したうえで、〔例題〕を通じて典型問題の解法を学びます。その後、〔練習問題〕で知識をきちんと定着させ、〔EXERCISES〕や〔総合演習〕に取り組むことで応用力と実戦力を養います。単元ごとに学ぶべき内容が整理されているため、効率的に学習を進めることが可能です。また、すべての例題には無料の解説動画がついているため、学習を進めるうえで独学でも困りにくいようになっています。
学習を進める際には、まず〔基本事項〕や〔例題〕を丁寧に学び、基礎的な解法や考え方を理解することが重要です。この段階では解答や解説をしっかり読み、解法の流れを吸収してください。次に、〔練習問題〕を解いて基礎力を確かなものにし、復習を重ねて理解を深めます。節ごとに〔EXERCISES〕にも取り組むことで応用力を鍛え、入試レベルでの基礎力を盤石なものにしてください。また、学習の進み具合や目標のレベルに応じて〔総合演習〕にも取り組むことで、より高いレベルへの対応力を鍛えることも可能です。難関大志望の人はぜひここまで取り組んでみましょう。一歩ずつ確実にできることを増やしていくという地道な作業を繰り返すことで、着実に学力が伸びていきます。
『チャート式 基礎からの(青チャート)』は、文系で最難関大学、理系で旧帝大レベルを目指す人に特にオススメです。入試標準~応用レベルの問題も多く収録されており、次のステップに進むための土台を築くことができます。一方で、基礎が不十分な場合には、『入門問題精講』などにより、先に教科書内容を確実に補強することが効果的です。
『青チャート』をやり切るには、時間と覚悟が必要です。だからこそ、きっちりと仕上げることができれば、基礎力・応用力・実戦力をバランスよく鍛え上げることができます。大学入試という「期限のある中での戦い」だからこそ、焦らず丁寧に進めることで、数学を得意科目に変えることが必要です。
何を使うか迷っているという人は、ぜひ『青チャート』を手に取り、自分の力を伸ばす第一歩を踏み出してください。
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